*骸視点
屋上から見る夕焼けが、こんなに綺麗だと思ったことはなかった
もしかしたら、ただ夕焼けを見つめたことがなかったのかも知れないけれど
君と一緒に見るからにから、こんなに綺麗なんだと思いたくなる
ただ隣に座って、何を話すでもなくて、ただ夕焼けを二人で見つめている
はたから見れば、異様な光景だろう
それでも僕は満足で、充実感のような何かに浸っているのだ
ただ、雲雀君と一緒に存在できることが嬉しい
ただ、それだけ
「ねぇ、骸」
雲雀君の低音が、僕の名前を呼んだ
「はっ…はい、何ですか?」
久しぶりに口を開いたから、ほんの少し声がうわずる…恥ずかしい
何でこんなに、名前を呼ばれるだけで、嬉しいのか
「ねぇ、骸ってさぁ、誕生日、6月だよね」
語尾は上がることなく、疑問系ではないそれ
覚えててもらえて、嬉しいと思ってしまう女々しい自分
「は、はい…それが、どうかしましたか?」
雲雀君を見ると彼は優しく微笑んでいて、思わず見とれてしまう
「僕の誕生日、知ってるよね」
それも、また間違いなく断定的に言われた言葉で
「はい、5月5日…です」
間違いなく合っている筈なのに、少し緊張
「だから、僕、嬉しいんだよね」
ふふっ、と笑う雲雀君の顔に見とれてしまう
「…何が、嬉しいんですか?」
「だって、僕は骸が生まれる前からこの世に存在して、1ヶ月も、骸が生まれるのを待っていたんだから」
「骸と存在できて、嬉しいんだ」
嗚呼、
貴方も、僕と一緒で
お互いの存在が、嬉しいんですね
ふわっと、唇に柔らかい感触
「生まれて来てくれて、ありがとう」
1ヶ月待ってた、そうやって笑う君の瞳には、赤い空が映っている
END